外資系銀行を経て特許事務所にて勤務 |
「特許翻訳マーケット〈特許翻訳はこんな世界〉」セミナーを受講して
●山本冬子のプロフィール
2013年からバベル翻訳大学院で勉強を開始。専攻は金融・IR。0,2歳の育児に追われつつも一日も早く翻訳で食べていけるよう日々邁進中。
セミナーのレポート
6月26日の18時から奥田百子氏が講師として特許翻訳マーケット(特許翻訳はこんな世界)と題して2時間語って頂いた。ご自身の経歴の紹介から始まり、特許翻訳の仕事を探す方法、特許翻訳の実態、学校で習った英語と翻訳の英語は違う等、特許翻訳のみならず、英語の学習方法等様々な役立つ情報を提供して頂いた。詳細は以下の通り。
最大で約10社の翻訳会社に登録したこともあったが、現在では数社のみのお付き合いに至る。最初の仕事は、1ヶ月半後にもらえたが、1ヶ月以上仕事がないこともある。そういう際には焦ったこともあったが、勉強をするときであると、「座して待つ」という結論に至る。翻訳業務で独立して以降、7年が経過し約2000件の翻訳を達成。今では、翻訳の指導に従事したいと考える。
翻訳者とは?
翻訳は資格がなくとも翻訳ができ、明日から翻訳者になれるが、質が伴いため、現実的ではない。また、翻訳家と翻訳者は違って、前者は翻訳に自分の名前が表示されるが、後者は表示されずにクライアントの間にエージェントが介入する。オンサイトとインハウスの翻訳者がいるが、その場合、オンサイトというのは現場という意味で、インハウスは社内で行う翻訳であって、自宅を意味するものではない。直請けには間にエージェントを通さないため報酬が高く納期が長い。月30万の収入が翻訳者と名乗れる水準であろう。
翻訳業界では、実力が全てということで就職活動がインターネットで完結してしまう。また、翻訳の仕事はありふれているおり、そのチャンスはどこにもある。営業しなくても翻訳に対する需要はある。確かにリーマンショック以降は、仕事が激減したが、1年後は断るほど仕事が戻ってきているので、焦らないで待つという態度がいいと思う。
特許翻訳では
特許翻訳では、数字、記号単位の間違いは言い訳ができないため、訳抜けを絶対に避ける。
一般的な英語勉強法
英語のニュアンスが掴みにくい際には英英辞典を使うのもいいが、海外に長く住んでいる日本人と話すと分かりやすいこともある。たとえば、長い間会っていなかった海外在住の友人と再会した際に「顔が変わってしまってidentifyできない」と言われたが、これをきっかけにidentifyのニュアンスがすんなりと理解できた。
学校で習った英語と翻訳の英語は違う
●“Here in”「ここで(この文章で)」, 特許、契約書でよくでる言葉
● “Further”「また、更に」がよく使われる。
●“Or”には「または」のほかに「すなわち」という意味もある。
●“May”と“Can”が特許翻訳ではすごく重要である。学校では”may”を「〜してもよい」と習ったが、そう訳すことはあまりない。「〜の場合がある」と訳すことのほうが多い。Canも同様
●Overという前置詞も悩ましい単語である。とりあえず、「~にわたって」で訳す 単に上という風に訳せないこともある。
●他にも “Succeed”「成功する、引き継ぐ、受け継ぐ」、 “Available” 「入手できる、利用できる」、“Accompany” 「ついて行く」、“Prepare”
「準備する、作成する、調剤する、調製する」、“Support” 「対応する、支援する」、“Respond” 「対応する、対処する」
質疑応答
Q特許翻訳者として明細以外に関わる業務はあるのか?
A ある。代理人とのレターの翻訳。特許制度のプレゼンの翻訳。中間処理、意見処理の翻訳等の翻訳があり、翻訳者が好まないため(資料を多く読まなければならないにもかかわらず翻訳分量が少ないため)、かなりの需要がある。同業務は仕事が得やすいという利点がある。
Q 経験や知識がない人が特許翻訳をする場合、これだけはやるべきというものは?
A 理系 、文系によって違う。理系の方はやり易い分野。文系の方は、中間処理、レター、特許制度の翻訳等から始めた方が仕事もらいやすいだろう。特許制度の概要を説明した書籍を読んで専門用語を覚える。別の人が書いた明細書を参考にする。
Qこの本、辞書がお勧め等ありますか?
A 辞書は英辞郎を使っているが、辞書はほとんど使わず、グーグル検索を行っている。富井篤氏の書籍を参考にしている。
以上
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