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一般社団法人 日本翻訳協会は翻訳の世界標準を目指します。

一般社団法人 日本翻訳協会 試験及びセミナー ご案内

 JTA公認 翻訳専門職資格試験  【英語部門】【中国語部門】

 JTA公認 翻訳プロジェクト・マネージャー資格基礎試験

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 翻訳セミナー


世界の翻訳資格事情

国際レベルの能力水準を満たす翻訳資格について、英語圏を中心に世界の先進各国(オーストラリア、ドイツ、イギリス、アメリカ及びカナダ)の状況をご案内いたします。

こちらから


世界のおもな翻訳資格認定協会、機関

オーストラリア

日本語でのご案内はこちら

The National Accreditation Authority for Translators and Interpreters (NAATI)


イギリス

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The Institute of Translation & Interpreting (ITI)


アメリカ

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The American Translators Association (ATA)


カナダ

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The Canadian Translators, Terminologists and Interpreters Council (CTTIC)


韓国
日本語でのご案内はこちら
KOREAN SOCIETY OF TRANSLATORS(KST)


中国

日本語でのご案内はこちら
Translators Association of China (TAC)



タイ
THE TRANSLATOR AND INTERPRETER ASSOCIATION OF THAILAND


インドネシア
The Association of Indonesian Translators


フィリピン
Translators Association of the Philippines


マカオ

Federation of Translators and Interpreters of Macau


ベトナム
Vietnam


ロシア
Union of Translators of Russia


フランス
Union Nationale des Experts Traducteurs Interprètes près les Cours d'Appel



ドイツ
the professional association of interpreters and translators in Germany



イタリア
AITI – Italian Association of Translation and Interpreting



スペイン
Asetrad (abbreviation for the "Asociación Española de Traductores, Correctores e Interpretes" or the "Spanish Association of Translators, Copy-editors, and Interpreters")



オランダ
Netherlands Society of Interpreters and Translators (NGTV)



スウェーデン
The Swedish Association of Professional Translators



デンマーク
ADAT – Association of Danish Authorized Translators



ベルギー
CIUTI 調査レポート
日本語でのご案内はこちら

CONFERENCE INTERNATIONALE PERMANENTE D’INSTITUTS UNIVERSITAIRES DE TRADUCTEURS ET INTERPRETES(CIUTI)


世界の翻訳者ネットワーク

日本語でのご案内はこちら

ProZ.com


世界の翻訳資格事情

1.  オーストラリアのNAATI認定資格

オーストラリア連邦政府は、翻訳者と通訳資格を標準化し認定する唯一の国家機関として、1977年にThe National Accreditation Authority for Translators and Interpreters (NAATI)を設立しました。対象言語も世界最多で、2008年度に認定試験が行われる言語はヨーロッパ・アジア系を中心に30に及び、希望者がいればさらに30の言語について試験が実施できる体制になっています。具体的な対象言語は、以下の表をご覧ください。

≪ NATTI資格認定対象言語(2008-2009年度)≫
 PPTPTAT PPTPTAT
アルバニア語ラオ語
アムハラ語マケドニア語
アラビア語マレー語
アルメニア語マルタ語
アッシリア語北京官話
オーストラリア手話 ヌエル語
ベンガル語オロモ語
ボスニア語ペルシア語
ブルガリア語ポーランド語
ビルマ語ポルトガル語
広東語パンジャブ語
中国語パシュトー語
クロアチア語ルーマニア語
チェコ語ロシア語
ダーリ語サモア語
ディンカ語セルビア語
オランダ語シンハラ語
タガログ語スロバキア語
フィンランド語ソマリ語
フランス語スペイン語
ドイツ語スワヒリ語
ギリシア語タミール語
客家語ティモール語
ヒンディー語タイ語
ハンガリー語ティグリニア語
インドネシア語トンガ語
イタリア語トルコ語
日本語ウクライナ語
クメール語ウルドゥ語
韓国語ベトナム語

PPT:Paraprofessional Translator(レベル2) 太字は、標準で試験が実施される言語・レベル
PT:Professional Translator (レベル3)    ○は認定試験実施対象
AT:Advanced Translator (レベル4) すべて「-」となっているのは、通訳のみが対象


認定資格は、翻訳者・通訳とも4段階のレベル(レベル2~5)に分かれており、国家政府機関の仕事に携わる場合には、レベル3以上の資格を有していなければなりません。また、民間でも翻訳業務に従事する場合には、この資格が重視されています。NAATIの発行資料に基づいて、4レベルの翻訳資格内容を簡単に紹介します。

  • レベル2-Paraprofessional Translator
    いわば「プロの翻訳者予備軍」の資格です。技術用語や専門用語が入らず、専門的な内容でない、一般的で簡単な文書を翻訳できる能力、ただし、若干の不正確さや誤りが残る ― と定義されています。
  • レベル3-Professional Translator
    オーストラリア国内でプロの翻訳者として働ける最低限の資格です。一般的なビジネス分野や芸術の分野で、あまり専門性の高くない科学文書、技術文書、法律文書、ビジネス文書などを正確に翻訳する能力を有することが条件です。
  • レベル4-Advanced Translator
    国際標準の能力を持つ翻訳者の資格です。国際会議資料、学術論文、外交文書など、複雑で専門性が高い内容の文書を、洗練された翻訳文に仕上げる能力が要求されます。
  • レベル5-Advanced Translator (Senior)
    NAATIが認定する最高レベルの翻訳資格です。高い能力と豊富な経験が要求され、Advanced Translatorの翻訳能力に加えて、マネジメント能力や翻訳者の指導・育成能力も必要となります。

NAATIの資格認定試験の内容を、Professional Translatorを例にとって紹介します。試験は250語前後の文書3つ(必須の一般文書のほか、財務・リーガル・メディカル・科学文書などの専門的なテーマからふたつを選択します)を翻訳する課題と、翻訳者としての倫理規範に関する質問(3つの質問からふたつを選択して回答)から成っています。後者に関しては、実務の上で翻訳者が遭遇する可能性がある、倫理的に板挟みとなるような困難な状況が設定され、自分はどう考え、どう行動するかが問われます。翻訳者・通訳の倫理規範、行動基準については、オーストラリア通訳者・翻訳者協会(AUSIT):The Australian Institute of Interpreters and Translators)が1995年にAUSIT Code of Ethicsを定めており、その基準に則った論理的な回答が要求されます。

ひとつのレベルに対して受験のチャンスは三度しかありませんが、認定試験を受ける以外に、NAATIが認定した教育機関の講座を一定以上の成績で修了すれば資格を得ることもできます。また、取得した資格の有効期限は3年間で、更新のためにはNAATIによるRevalidationの手続きが必要になります。更新のための条件は、翻訳実務を継続して行っていること、指定された研修(PD=Professional Development)を受講していることなどで、合格すればさらに3年間、資格を継続できます。不合格の場合は、最初から受験しなおさなければなりません。


2.  ドイツの「公認翻訳士」資格

ドイツ国内で公文書翻訳を行うには、「公認翻訳士」(Allgemein beeidigter und offentlich bestellter ubersetzer)の資格が必要です。「公認翻訳士」は、正しく言えば「裁判所で公的に宣誓して認定された翻訳者」となり、その地方を管轄する地方裁判所(または州の上級裁判所)で宣誓の上、認定を受けた資格です。

「公認翻訳士」の認定を受ける前提条件として持っていなければならない資格が、「国家検定翻訳者」(Staatlich geprufter ubersetzer)です。これは、ドイツ国内の特定の州の文部省が実施している「翻訳士国家試験」の合格者に与えられる認定資格で、南西部のラインラント・プファルツ州(Land Rheinland-Pfalz)では日本語の翻訳に関する試験も実施されています。

また、ドイツ国内の主要な大学(ベルリン大学、ボン大学、ライプチヒ大学、マインツ大学、ハイデルベルグ大学、ヒルデスハイム大学)の翻訳課程修了者に与えられる「ディプロム翻訳士」(Diplom-ubersetzer)という資格があり、こちらも「公認翻訳士」の認定を受ける前提条件として認められています。

「国家検定翻訳士」と似たような名称で「国家認定翻訳士」(Staatlich anerkannter ubersetzer)という資格もあります。これは、大学以外の教育機関や商工会議所などが実施する翻訳技能試験のうち、国家認定を受けている試験の合格者に与えられるものです。「国家検定翻訳士」よりもランクは低く、州によって「公認翻訳士」の認定を受ける前提条件として有効な場合とそうでない場合があります。


3.  イギリスのITI会員資格

ドイツと異なり、慣習法が主体となっているイギリスでは、「公認翻訳士」(宣誓して認定された翻訳者)という概念そのものが存在しません。とはいえ、翻訳の品質を「公認」のものとして維持するため、プロレベルの翻訳者に認定資格を与える必要があります。1986年に設立されたThe Institute of Translation & Interpreting (ITI:翻訳者・通訳者協会)は、イギリスのみならず英語圏で活動する翻訳実務者を支援し、翻訳者の養成と翻訳能力の維持・向上に取り組んでいます。

ITIの会員は、個人翻訳者、学生、企業など8つのカテゴリーに分かれますが、プロとしてハイレベルの能力を認定される会員資格はQualified Membershipです。認定条件は次のようなものです。

  • 年齢25歳以上
  • ITIが認定する学歴などの条件を満たしていること
  • プロの翻訳者を含む3人以上からの推薦と人物証明
  • 最低5年のフルタイム実務経験など

会員資格に認定されると、ITIの翻訳者リストに登録され、プロレベルのスキルと能力の持ち主であることをクライアントにアピールできます。

しかし、当然ながら会員には総合的な翻訳能力の維持・向上に取り組むことが義務付けられています。そのためのシステムが、CPD(Continuing Professional Development)です。CPDは、翻訳に限らず専門的な能力が必要な様々な職種で導入されていますが、ITIがCPDトレーニングのために設定した能力基準がTranslator’s Topics(5つのKey Area)です。

ITIの5Translator’s Topics

  • 1.  自己啓発 (Personal Development)
    ・時間管理、ストレス対処 ・自己表現、交渉能力 ・倫理規範
  • 2.  専門知識 (Subject Knowledge)
    ・リサーチ ・情報源の確保と維持 ・インターネット活用 ・個人データベース構築
  • 3.  語学スキル (Language Skills)
    ・自国語のスキル ・対象言語の知識 ・推敲、編集、校正、要約能力 ・辞書/文献の活用
    ・文体の使い分け ・テクニカルライティング ・字幕翻訳など
  • 4.  IT ・インターネットの活用 (IT and the Internet)
    ・最新のOA機器、ソフトウェアの活用とアップデートの継続
    ・セキュリティ確保 ・翻訳メモリの活用 ・ターミノロジー管理 ・翻訳支援ツール
    ・スタジオ実務(字幕翻訳など)
  • 5.  ビジネス実務 (Business Practice)
    ・起業、財務処理 ・プロジェクト管理 ・マーケティング/プレゼンテーション
    ・顧客開拓、管理 ・法律知識、危機管理

各人は3年計画でCPDトレーニングの受講計画を立て、ITIが推奨する講座やワークショップ、セミナーに参加します。CPDの記録フォーマットは、本人がどれだけプロとしての訓練を積んでいるか、そして翻訳者としての能力要件を満たしているかを証明する手段となり、クライアントとの契約の際などに有利に働くようです。

また、ITIでは、プロレベルに達していない準会員(Associateship),学生会員(Student Associateship)に対して、先輩のQualified Membership会員によるオンライン指導が行われています。


4.  アメリカのATA認証資格

The American Translators Association (ATA:アメリカ翻訳者協会)は翻訳・通訳産業の発展と翻訳者・通訳の能力向上を目的として1959年に設立された民間団体で、現在の会員は日本を含む90ヵ国、1万人以上に及んでいます。ATAでは、翻訳者が遵守しなければならない倫理規範・行動規準を詳細に規定しているほか、翻訳サービスを発注しようとするクライアント向けのガイドブック(Translation getting it right -A guide to buying translations)を公開しており、そこには正確で高品質なサービスを受けるのに必要なクライアントの心得が詳しく書かれています。さすがはマニュアル社会アメリカという印象を受けますが、発注側と受注側の双方に共通の高い意識を持たせることで、翻訳品質のスムーズな向上を目指しているのでしょう。

ATAは、ATA-Certified Translators (CTs)という認証試験を設けています。この資格はATA独自のもので、公的資格ではありませんが、英語と特定の言語間の翻訳についてプロとしての能力基準を満たすことを客観的に認定するものです。認定された場合、名刺などの肩書きにCTと付与できるほか、ATA奨励の翻訳者リストに登録され、プロレベルのスキル・能力を持つことをクライアントにアピールできます。

認証試験を受ける前提条件は、以下の通りです。

  • ATAの会員であること(会員は認証試験の模擬試験を受けることができます)
  • 一定の学歴と実務経験を有すること
  • ATAの定める倫理規範と行動基準を理解し、遵守する契約書にサインすること

試験は全米各地で行われ、対象言語は日本語を含めて12~14(英語から翻訳する場合と、英語へ翻訳する場合で、対象言語のパターンが微妙に異なります)ですが、日本語と中国語、アラビア語以外はすべてヨーロッパ系諸言語となっており、オーストラリアのNAATI認証試験と比べて偏りが感じられます。試験自体は2種類の文書(ひとつは必須の一般的内容、もうひとつは科学・技術・メディカル系文書とビジネス・法律・金融系文書から選択)を翻訳するというものですが、合格率は20%という狭き門です。

この認定資格も、3年ごとに更新が必要です。更新の条件は単位(ポイント)制で、ATAが指定する各テーマの講座を履修するなど、3年間で20ポイントを取得しなければなりません。特に、倫理規範に関するワークショップへの参加(またはオンライン講座の履修)が必須のものとして最優先に要求されていることに、倫理遵守意識の高さが感じられます。


5.  カナダのCTTIC認定資格

カナダには、ATAのカナダ版とも言えるThe Canadian Translators, Terminologists and Interpreters Council (CTTIC:カナダ翻訳者協会)があります。1970年に設立され、カナダ国内の翻訳・通訳・ターミノロジーの能力標準を定め、異言語・異文化間コミュニケーションの品質の維持向上を目的に活動しています。翻訳者の育成を政府や企業に働きかけるとともに、翻訳者の資格認定が活動の柱となっています。

認定試験(The CTTIC Standard Certification Examination in Translation)は毎年1回、カナダの主要都市で一斉に行われます。対象はプロを目指す翻訳者ではなく、既にプロとして一定の経験を積んでいる翻訳者で、その能力とスキルを客観的に確認し、認定することが主眼です。試験内容はATAの認証試験と似ており、やはり2種類の文書(共通文書と選択文書)の翻訳ですが、後者の方は科学・技術・メディカル系文書と文芸作品からの選択となっています。CTTICのホームページからダウンロードできる受験者ガイド(http://www.cttic.org/examDocs/guide.candidatesE.pdf)には、試験答案(翻訳文)を作成する上での留意事項が事細かに記されていますが、翻訳に取り組む際の基本的心得としてよくまとまっており、一読の価値があります。

CTTICの認定資格者(Certified Translator)は、ニューブランズウィック、オンタリオ、ケベック、ブリテイッシュ・コロンビアの各州では公認資格として法的に保護されています。


(社)日本翻訳協会の認定校、バベルプレス発行 「The LEGAL.COMM 2008年11月号」の記事より抜粋